真剣な瞳で見詰めてくるフュリーにレヴィンは困惑した。

甘え方を教えてほしい、だなんて。

つまりそれは暗にレヴィンが他人に甘えっぱなしの人間だと示してやいないか。
悔しいことに、確かにその通りかもしれない。
いや、確かにそうなのだ。

これまで幾度となく人の力を頼りにし、嫌なことからは背を向け逃げて、
怒られそうな気配を察すれば笑って誤魔化す。
甘えることにおいてはエキスパートだと言っても過言ではない。

だけど少なくとも最近は、フュリーの前では格好良いレヴィン様を演じているつもりだった。

(ああもう)

甘え方を覚えて誰に甘えるつもりなんだ、一体。

フュリーは依然として真剣な眼差しで、レヴィンは相変わらずの苦笑い。

「そうやって人に頼み事をするっていうのも、一つの甘え方なんじゃないのか」

要するに、フュリーは今俺に甘えているんじゃないのか。
誰よりも真っ先に甘えられる存在が俺なんじゃないのか。

心はフュリーと同じくらいに大真面目だけど、締まりのない顔で言ったから誰も気付きはしない。

誰かに泣き付きたいこの気持ちに、誰も気付きはしないのだ。