初めて会ったときに指の組み方を教えてもらったのを今でも覚えている。 指を組んで目を伏せると、それまでの日向の笑顔が暗い森の迷子のように陰ってしまったことも、鮮明に。 アゼルが出会った頃から毎日祈ることをエーディンは欠かしはしない。 私に出来ることをするのだと言ってエーディンは微笑んだ。 祈りの手をほどき、アゼルの小さな手を包みながら。 どうせ僕はファラフレイムを使えない。 拗ねていたのがひどく小さなことだと恥ずかしくなった。 その日からエーディンはアゼルの女神で、それから目標となったのだった。 執務に忙しい兄の目を盗んでレックスと行く道中、おおよそそんなことを思い出していた。 自分の使える精一杯の魔法でエーディンを蛮族から助け出したい。 そして出来ることならばエーディンの陰りを取り除きたい。 今の自分にそこまでの力があるかは、まだ分からないけれど。