シグルドの隣にディアドラがいるのを見て、エーディンはお似合いの二人だと微笑んだ。
公子や王子というものは、童話や戯曲の中では美しいお姫様を求めて旅をする。
シグルドもまさに遠征中にディアドラに出会っており、常々物語に出てきそうな人物だと感じていたその心は今回も裏切られなかった。

(だとすれば)

エーディンの意中の王子様はきっと、エーディンがヴェルダンに拐われるというアクシデントがなければ精霊の森の少女を探しだして結婚したのだろう。
旅はともかくとして、現実においても王子様と結婚をするのはうら若き美少女というのは鉄板だ。

(私は彼の王子様だわ)

ジャムカに駆け寄り、エーディンはそっと袖を引っ張る。
ジャムカの肩の向こうのシグルドとディアドラと目が合った。
彼らはお似合いだとジャムカが言うのと同じく、彼らも自分達がお似合いだと言っているに違いない。