魔法はフィーリングだ。気が合うかどうかだ。理屈じゃない。 そう語ったレックスの指から小さな雷が出ていたのをティルテュは見逃さなかった。 それはまだティルテュが魔法を扱えなくて毎日躍起になって練習をしていた頃の話だった。 「あーイヤだ。エリート様ってイヤイヤ」 人が告白されているを覗き見しておいて言うことがそれか。 レックスは眉間に皺を寄せる。 「さっきの子、可愛かったのに勿体ないんじゃないの」 「可愛いだけじゃ駄目だ」 レックスは右手の人差し指を立て、指揮棒みたいにゆらゆらと空中を漂わせる。 「恋愛はフィーリングだ。気が合うかどうかだ」 そう、そのポーズはあの日に見たポーズと全く同じ。 「ねえ、レックス」 あたしと恋愛してみる気はない? この感覚は、理屈じゃ説明しきれない。 胸はもう、あの日見た雷にずっと痺れさせられている。