きっと歓声の量を比較しているのだろう。
ぽつりとリーフが、もし自分がマンスターの勇者だったら、と口にした。

「だったら私は」

私はアルスターの姫ですね。

言いかけて止めて、リーフ様ならば勇者もご立派に務められます、なんてごまかした。

ナンナがティニーだったならば、ティニーと同じように人々に優しく出来ただろうか。
身内からも民衆からも責められるような立場で、それでもなお。

そのとき隣にかの勇者はいなかったというのに。

「そうかなぁ」

民に手を振りながらリーフとナンナは凱旋する。
大きさを増す歓声に満足したリーフが、

「きっとそれ以上だ」

そう呟いた。