「俺を探すために旅に出たのならとんだ無駄足だったな」だの「俺は国には戻らない」だの随分と勝手なことをのたまって下さる。 別に元シレジア王がその身の振り方をどうしようとセティにはあまり関係がない。 シレジアのことならば継ぐ気に満ち溢れた王子がいるし。少し頼りないけれど。 ただ、 「フュリーにそうやって言い返したんだよなぁ」 元シレジア王が、レヴィンがセティの顔を見て、 「お前、フュリーにそっくりだよ」 そう言って懐かしく笑うから、本当のことを伝えられなかった。 自分が旅立った理由も、フュリーが遠くに旅立ってしまったことも。