「相変わらずの親不孝者ですみません」
ザクソンからシレジアに戻るなりレヴィンは申し訳なさそうな顔をした。
フォルセティを継承したのはついこの間のこと。
それと同時に、ラーナにもう心配は掛けまいと胸に誓ったばかりだった。
「迷惑でしょう?」
いきなり押し掛けて、厄介な預りものをしてほしいだなんて。
「こういうのは、親不孝って言いません」
レヴィンからそれらを受け取ったラーナは穏やかな笑みを浮かべる。
雪よりも透き通る肌に日があたった。
皺が増えましたね。
いつもならば言ってしまう一言を喉の奥へと押しやって、幼い我が子たちの寝息を耳に刻み付ける。
グランベルへ向けて発つ日付が刻一刻と迫っていた。